The Second World~世界の作り方~第1章

宝鐘マリンがRPGツクールを用いて制作した未完の自作ゲーム「The Second World~世界の作り方~」通称セカワー。各所に詰められたマリン構文が癖になる。

第1章の博衣こよりが辿ったルートの全テロップを文字起こし。街は街だ。

制作ソフト:RPGツクールVX

シナリオ・キャラクターデザイン:宝鐘マリン

目次

登場人物 表情差分

セフォー

ナリリシャ

ディザレベン

第1章 世界の歩き方

頭が痛い。
心の奥にぽっかりと穴があいているような感覚。
何かが欠けてしまった気がする。
でも、俺はすがすがしい気持ちだった。
これでいいんだと、漠然と感じた。
・・・
確かに感じた。
なのに、俺は今、何を感じていたかよくわからなくなっていた。
何をあんなに悩んでいたのか?
そもそも俺は誰なんだ?
誰なんだ?誰だ?

目を開くとそこは、街のようだった。
街?街って・・・。
一瞬記憶が錯乱するが、街は街だ。
それ以上でも、それ以下でもない。
なんとか俺は、生活できるレベルのようだ。
自分が記憶を失っているということが、ハッキリとわかるのは良いことなのか悪いことなのか・・・。
悪いことなんて、満ちあふれている。
なら、どちらかわからないことは良いことだと思うことにした。

???

これは・・・・・・・

不思議な感覚。
ここにあるのは教会。間違いないだろう。
それはわかる。
でもなんだろう、この奇妙な感覚は。
胸の奥で、言いようのない感情がザワザワと動くのがわかる。
でもそれが、不安なのか喜びなのか、なんなのか・・・
見当もつかない。

村人「あーー!だめだめだめ!!何をしているんだ君は!!」

???「えっ?」

村人「ナリリシャさんは大事な儀式の最中なんだよ!・・・ん?見ない顔だなあ・・・。
なるほど、別の街から来た人だな。まあそれならば知らなくともしょうがないさ。けど、この街には来たからにはこの街のルールに従ってもらうよ。教会に用があるようだけど、それはまた後にしてくれ。」

???「は、はあ・・・。」

なんだかよくわからない。この街のルール?
ナリリシャさん?・・・・・・・ナリリシャさん?
なんだろう?変な感じがした。

村人「それにしても・・・君はナリリシャさんを知らないのか?」

???「ナリ・・・リシャ・・・・・・?」

村人「ナリリシャさんを知らない人なんて初めてみたな・・・・・・一応説明しておいてやろう。この祈りの街には、ナリリシャさんといって世界でただひとりの驚異的な治癒能力を持つ聖女さんがいらっしゃるんだよ。そのナリリシャさんの力が覚醒するのがナリリシャさんの誕生日。ナリリシャさんは祈りを捧げて、力の覚醒を持つんだよ。」

???「力の覚醒・・・?」

村人「ナリリシャさんは本来ならもっとすごい力があるらしいぞ。魔物を一瞬で消し去ってしまいこの世界に安息を与える力が!」

???「・・・そんな力が・・・?」

村人「・・・・・・まあいいさ。とにかくナリリシャさんの邪魔をしてはならないよ。今回の儀式こそ、成功してほしいからね。」

おばさん「そうそう・・・ナリリシャさんの儀式は毎度毎度失敗し続けてもう12年目になるんだけどね。」

街の人だろうか?
横から少し残念そうな顔で現れた女性は俺の方をちらりと見た。

おばさん「ナリリシャさんにこれ以上失敗されちゃうのは怖いからねえ・・・あまり邪魔しないであげとくれよ?」

???「あ、は、はい。邪魔をするつもりなんて・・・全然。」

おばさん「そうは言うけどねえ・・・。なーんか心配な子だね。とりあえず街の中心のほうにでも居なさいな。」

???「あっ・・・」

そのままぐいぐいと引っ張られていく。
無性に教会が気になるのは何故だろうか・・・。

村人1「ええっ、じゃあおまえさん、名前も覚えていないのか?」
村人2「・・・大丈夫なのか・・・?」
村人3「なんだか変な人だ・・・。」
村人1「その背中のヘンな杖・・・なんだ?」

???「えーと・・・これは・・・なんでしょう?」

俺はいつの間にか質問攻めにあっていた。
決して悪い人達には見えないけれど・・・
俺のことを知れば知るほど
不信の眼差しっぽくなってくるのは気のせいだろうか?
気のせいだといいな・・・

村人1「職業は?」

???「わからないです。」

村人2「どこから来たんだ?」

???「わからないです。」

村人3「じゃあ何故ここに来たんだ?」

???「わからないです。」

自分でも情けないほどに何もわからない。
不甲斐ない・・・。何故覚えていないんだろう・・・。
思い出したい
せめてこの突き刺さるような視線から
逃れられるレベルくらいには正常になりたい。

村人3「怪しい・・・・・・」
村人2「怪しいな・・・」
村人1「ナリリシャさんの生誕の日に急に現れて・・・・・・」
村人3「一切素性がわからなくて・・・・」
村人2「教会に勝手に入ろうとして・・・」
村人2「まさか・・・砂の街の者じゃないか・・・?」
村人1「いまだにナリリシャさんを狙ってるというのか・・・・・・」
村人3「薬のことをまだ根に持っているとは・・・おい!!みんな!こいつはやっぱり怪しい!きっと砂の街の者だ!!」

???「え!?ええ!?」

村人1「連れて行くんだ!!」
村人2「もしもの事があるかもしれない・・・」
村人3「その時は・・・」

全員がギロリとこちらを見る。殺意・・・・
これは間違いなく殺意なのだろう・・・。
どうすればいいんだろう・・・。このままでは・・・・・・・

ナリリシャ

待ってください!一体どうしたのですか?

???「・・・」

現れた女の子にとても吃驚した。
何故こんなにも、胸が・・・熱くなるのだろう・・・?
胸がいっぱいという表現が正しいのかわからないけれど・・・。
わからないけど、恋・・・とは、こういうものかもしれない?

村人1「ナ、ナリリシャさん・・・儀式は・・・!?」

ナリリシャ「ごめんない!でも私、あの どうしても気になってしまって・・・創世者様も、行きなさいと仰ったんです・・・だから・・・」

村人1「何をふざけたことを言っているんだ!!!」

すごい声だった・・・。
見ればナリリシャさんもびくびくしていた・・・。

村人1「お前はいつまでそんな青い服でいつるもりなんだ!!本当にやる気があるのか!?何故12年も失敗しているんだ!?守る?こんな急に現れた素性も知れない輩を?なら17年間お前を守り、戦争の時も命を賭けてお前を守った私たちはどうなるんだ!?」

ナリリシャ「それは・・・・・・ありがとう。」

物凄い剣幕に圧倒されていたが、気づくとナリリシャさんはさっきとは打って変わって、まっすぐな目をしていた。

ナリリシャ「守ってくださって、本当にありがとう。こんな・・・私を・・・私、未熟な自分は大嫌いです。
いつも逃げ出したいし消えてしまいたいけれど・・・皆さんがいるからもっと生きようと思うんです。
儀式が失敗して、本当にごめんなさい・・・。
でも私、儀式が成功したとしても・・・皆さんに何か良くない事が起きているのを無視はしたくないんです。
儀式の最中に出てしまったことは反省してますけれど・・・もし成功して、街中へ戻って皆さんに何かあったら・・・私成功なんて喜べないと思うんです。本当の世界の安息って、なんですか・・・?魔物がいないことですか?私に力があることですか?私、わからないです・・・。
皆さんを守れなくてもそれは安息ですか・・・?」

ナリリシャさんの真摯な姿に
激しい怒りの形相浮かべていた街の人々も
気付くとなんだか、平静を取り戻し
先程までの自分の言動を恥じているようにも見えた。

村人1「まあ・・・私たちの身を案じてくださった事には礼を言います・・・けど・・・また来年まで不安に駆られる私たちの気持ちも考えてくださいね・・・。」

ナリリシャ「ごめんなさい・・・でも、いつだって考えています。」

村人2「来年こそはナリリシャさんの儀式が成功するようにお守りでも買いに行きますか。」
村人3「光の街のお守りは、かなり良いと聞きますよ。」
村人2「術に長けた街ですからね。」
村人3「じゃあ行きますか。」

二人が行ってしまうと、街の人々も自宅へ戻っていった。
取り残された俺は、どうしていいかわからずに
呆然と立っていた。

ナリリシャ「あ、あの、ところで貴方は・・・?」

???「あっ、えっと・・・その・・・」

ナリリシャ「どこの街からいらしたんですか?」

???「それが・・その・・・」

ナリリシャ「何か、事情がおありなんですか?」

???「・・・・・・・」

先程までの質問攻めの末路を思って
なんだか答えるのが怖くなってくる・・・。
沈黙が続くと、ナリリシャさんは予想に反して
優しく笑ってくれた。

ナリリシャ「大丈夫!何も心配する事はないわ!」

ナリリシャ「教会でお話しましょう。きっと心が落ち着きますよ。」

何も聞かずに受け入れてくれる優しさ・・・
あまりに優しい笑顔で、気付いたら後を追っていた・・・。

ナリリシャ「ここが教会よ。」

入った瞬間、なんだか懐かしい気がした。
教会に立つナリリシャさんは、なんだかとてもしっくりときた。

ナリリシャ「祈りの間っていう部屋があってね そこで話すと、とても心が落ち着くのよ。」

そう言って、ナリリシャさんはまた先陣を切って歩き出した。
とにかく後を追うことにした。

椅子に腰掛けると、やっと一息つき、会話が始まった。

ナリリシャ「さっきはごめんなさい・・・。とても困ったでしょう?」

???「ま、まあ・・・多少は・・・・。」

ナリリシャ「普段はね あんな風に怒る事なんてなかったの・・・」

???「確かに・・・なんだか最初と大分印象が違う感じだったな・・・」

ナリリシャ「正直に言うと、私・・・さっきとても怖かった。初めてあんな怖さを感じたわ。私が悪いのよね・・・。私が、いつもいつも失敗しているから・・・愛想も尽かされちゃうわよね。」

そう言うナリリシャさんの表情は
笑顔をつくろうとしているが切なく曇っている。

???「でも、ナリリシャさんはハッキリと気持ちを伝えられてました!街の人を案じるナリリシャさん素敵だと思いました。」

ナリリシャ「・・・貴方って、優しい人ですね・・・。ありがとう。私最近悩んでいるけれど・・・がんばろうと思います。」

???「悩み・・・?」

自分でも驚くほど、積極的に話を聞いていた。
ちょっとなれなれしいくらいだ。

ナリリシャ「私、今日で17歳になったけれど・・・・・・もう12回も儀式を失敗しているんです。私の服の青さは私の未熟さを示しているんです。
この青さを、鏡の前に立って見る度に・・・悔しいと思いました。何年目かに失敗したとき私、青い服で街に出るのが怖くて・・・恥ずかしくて・・・・この服、見た感じ・・・白い服の上に、青い服を重ね着しているように見えませんか?」

???「見える・・・ね。」

ナリリシャ「私、この状態で渡されていつも上から被るように着ていたから考えたことがなかったんですけれど・・・その時、この服の青いほうだけ脱ぐことができないんだろうかって思ったんです。
すると、ぴったりとくっついていたんです。縫われているみたいに・・・私思ったんです。私の未熟さはぴったりと縫い付けられているんだ、って・・・私は永遠に未熟なんじゃないかなって・・・でも、そんな時いつだってお父さんが励ましてくれました。だから私、きっといつかは一人前になれるんだって思えていました。けれど・・・・・・ある時、自然の街へ行ってそのまま」

亡くなってしまったのだろう・・・。

???「ナリリシャさんなら一人前になれるよ。そんなに無理だ無理だと思っていたら本当に無理になっちゃいますよ!俺、応援してます。うまくいったときは一緒に喜びます。うまくいかないときは、一緒に悩みます。だから、そんな悲しい顔をしないでください。」

ナリリシャ「・・・ありがとう・・・本当に・・・ありがとう。」

ナリリシャさんの瞳から一筋、涙が見えたような気がした。

ナリリシャ「」

ナリリシャ

・・・貴方、本当に素敵な人だわ。出会えて嬉しいです・・・。

???「い、いや・・・そんな・・・」

ナリリシャ「名前・・・思い出せないんですか?」

???「うーん・・・思い出せないな」

ナリリシャ「だったら、私が名前をつけてもいいですか?」

???「本当かい?だったら、頼んでも良いかな?」

ナリリシャ「セフォー」

???「セフォー?」

ナリリシャ「そう、セフォーさん」

そう言うナリリシャさんの目は、なんだか不思議だった。
俺を通り抜けて遠くを見ているような視線だった。

セフォー「じゃあその名前を借りるよありがとうナリリシャさん。」

ナリリシャ「ナリリシャでいいのよ。」

セフォー「そ、そうかい?じゃあ・・・ナリリシャ・・・。」

なんだか急速に縮まり出す関係にちょっとドキドキしたりした。

ナリリシャ「ねえ、セフォーさん?」

なんだかナリリシャさ・・・
ナリリシャは、楽しそうな目をしている。

セフォー「え?なんだい?」

ナリリシャ「教会に住まない?」

セフォー「ええ!?いいのかい?」

ナリリシャ「だって、行く当てもないんでしょう?この教会、空き部屋はたくさんあるけれど住んでいるのは二人なのよ。」

セフォー「ででで、でも、悪くないかい?」

ナリリシャ「ここでセフォーさんを見捨てることの方が悪いわ!!」

なんだかもしかして・・・随分好かれたんじゃないか・・・?

ナリリシャ「ね?いいと思うんだけどな。」

セフォー「ええっと・・・・」

そうこうしていると、扉から筋肉質な男の人が現れた。

ディザ

なんか知らねー声が聞こえると思ったら・・・誰だ?そいつは?

ナリリシャ「あ、ディザさん。」

ディ・・・ディザさん・・・?・・・なんて猛々しい筋肉。
そうか・・・ナリリシャには
もう、愛人が・・・・悲しい末路だ・・・。*1

ディザ「・・・・愛人」

セフォー「!!」

ディザ「なー--んちゃって☆」

セフォー「な!」

ディザ「ウヒヒヒ、コイツけっこうおもしろいな?ナリリシャ!」

ナリリシャ「ディザさん、あんまりからかっちゃダメですよ?この人はセフォーさんっていうんです。」

ディザ「え?セフォー?セフォー・・・ってセフォー・・・?」

ナリリシャ「私がつけたんです。」

ディザ「え?」

ナリリシャ「セフォーさんは、記憶喪失で・・・これから教会に住むことになりました。」

ディザ「へ、へぇ~・・・。」

セフォー「?」

ディザ「・・・・・・・・・」

ディザ「ま、とにかくヨロシクな☆」

セフォー「あ、よろしくお願いします。」

ディザ「あ!!てゆーかアレはどうしたんだよ!!儀式!!!」

ナリリシャ「それは・・・その・・・また・・・その。」

ディザ「はんはん、なるほどなあ。ま、次はちゃんと一人前になれよ!」

ナリリシャ「はい。がんばりますね。」

ディザ「あ。ちなみにオレ、ディザレベン。まあ長い名前だから、ディザさんとでも呼べ。」

セフォー「ディザさん、ですか。」

ディザ「ああ。考案者はオマヌケスットコドッコイだ。」

セフォー「おまぬけすっとこどっこい・・・?」

ナリリシャ「ディザさん、失礼ですよ。」

ディザ「ま、いいじゃないかよ!オレは5年くらい前にここに来たんだよ。放浪の旅人としてな~。現れたオレを親切に迎え入れてくれたのがナリリシャだ!」

セフォー「なるほど。ナリリシャって昔から優しかったんだね。」

ナリリシャ「そんな、普通のことよ。そうだ、セフォーさん。教会を案内するね。」

セフォー「お願いするよ。」

ディザ「急だし、セフォーの部屋もできてないんだろ?このマッチョダブリュなディザさんが部屋を用意しておいてやるぜ!」

ナリリシャ「本当ですか?ありがとうございます!」

ディザ「じゃ、オレは先にやってるからなー。」

セフォー「なんだか・・・おもしろい人だね、ディザさんって。」*2

ナリリシャ「そうよね。ディザさんを見てるとこっちまで元気になっちゃうわね。セフォーさんも早くディザさんと仲良くなれるといいな。」

セフォー「うん、そうだね。」

ナリリシャ「さてと、じゃあ行きましょうか。」

ナリリシャ「ここは食堂よ」

セフォー「へえ・・・食堂なんてあるんだね。」

ナリリシャ「ええ。基本的にディザさんがよくいるかな。」

セフォー「なるほど・・・。想像がつくよ。」

ナリリシャ「あ・・・でもね、私もよくお料理してるの。」

セフォー「なるほど・・・。想像がつくよ。」

ナリリシャ「じゃあ次へ行きましょう。」

ナリリシャ「ここは集合部屋よ。みんなで話したいときとかはいいかもしれないわ。といっても・・・今はふたりだけだからあまり使ってないんだけれど・・・。」

セフォー「昔は大人数だったのかい?」

ナリリシャ「ううん。昔は・・・三人だったわ。じゃあ、次へ行きましょうか。」

セフォー「あ、うん。」

ナリリシャ「ここは私の部屋よ。」

セフォー「ナリリシャの部屋かあ・・・。ちょっと見てみたい気も・・・。」

ナリリシャ「それは・・・うーん・・・また、用があるときに来てくれれば上げるわ。今はその、いろいろ散らかっているから・・・」

セフォー「女の子らしいなあ・・・・」

ナリリシャ「ここはディザさんの部屋ね。」

セフォー「どんな部屋なんだろう?」

ナリリシャ「ディザさんらしくて、結構バッサリした感じよ。今度訪ねたらいいわ。」

セフォー「そっかぁ。また行ってみるよ。」

ナリリシャ「ここは物置部屋よ。何か置き場のない荷物があったら使ってね。」

セフォー「荷物かあ・・・俺にはないかな。」

ナリリシャ「ここに置いてあるもので使いたいものがあったら借りて良いと思うわ。」

セフォー「なるほど。覚えておくよ。」

ナリリシャ「ここはお風呂よ。注意事項がね、鍵が壊れてるの。」

セフォー「そうなのかい?」

ナリリシャ「ディザさんが破壊しちゃって・・・。」

セフォー「なるほど・・・。」

ナリリシャ「だから、誰が入ってるかわからないからノックは忘れないようにね?」

セフォー「わかったよ。」

ナリリシャ「って感じで、こんなものかな。まあ住んでいれば、すぐに覚えるから大丈夫ね。」

セフォー「ああ、大丈夫だと思うよ。」

ナリリシャ「じゃあ次は街のほうに行ってみましょうか。」

セフォー「綺麗な街だね。」

ナリリシャ「私もそう思うわ。たくさん街があって、どの街も素敵だけど・・・私、この街が一番好きだわ。」

セフォー「わかるような気がするよ。」

ナリリシャ「本当?私たち、ちょっと似てるかもね?そうだ、セフォーさん、何か必要なものがあったら買っておくといいわ。」

セフォー「必要なものか・・・」

ナリリシャ「お薬とか、武器とか防具とかがあるわよ。あ、お金ないわよね?はい、これ。」

1000G手に入れた

セフォー「あ、ありがとう。」

ナリリシャ「じゃあここで待ってるから終わったら声をかけてね。」

ポーション、装備品購入

ナリリシャ「もういいの?それじゃあ次は・・・な、何?今の音は・・・・?」

セフォー「あっちのほうから聞こえたよ!」

ナリリシャ「う、嘘・・・街に魔物が現れるなんて・・・・」

村人1「いいい、一体どうなってるんだ!?」

守衛1「こんなことなかったぞ!た、戦えません!」

セフォー「そんなに珍しい事なのかい?」

ナリリシャ「え、ええ・・・。初めてと言っても過言はないくらいよ。このままじゃ・・・セフォーさん、下がっててください!私・・・戦います!!」

セフォー「ええ!?なら俺も戦うよ、ナリリシャ!!」

ナリリシャ「セフォーさん・・・」

セフォー「来るよ、ナリリシャ!!!」

セフォー「ふう・・・なんとか大丈夫だったね・・・」

ナリリシャ「一時はどうなることかと思ったけれど・・・」

村人1「ナ、ナリリシャさん・・・今のは一体・・・・」

ナリリシャ「・・・わからないです・・・」

村人1「どうして・・・どうしてこんなことに・・・お、お前のせいだ・・・お前のせいだ!!」

ナリリシャ「え・・・」

村人1「お前のせいだ!!!お前のせいだ!!!!」

村人1「償えナリリシャ!!お前が捨てた罪は深い!!」

ナリリシャ「え・・・え・・・」

セフォー「それは違う!!」

自分でも吃驚した。
気付いたら大きな声を出していた。
そのまま言葉は勝手に紡ぎ出されていく・・・

セフォー「本当は違うんだろう。俺にはわかる。」

村人1「・・・お前は・・・お前は、そうか・・・」

それだけ言うと彼は
さっきまでの剣幕はどこへか・・・
急に倒れてしまった。

セフォー「・・・・・・」

ナリリシャ「セ、セフォーさん、どういう・・・ことですか?」

ナリリシャはガタガタと震えている。
何かにおびえているように・・・

ナリリシャ「あの、私・・・何もわからないけれど・・・なんだか、とても胸が痛かった・・・ご、ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・」

セフォー「大丈夫だよナリリシャ。俺も何もわからないけれど、君を守るよ。」

ナリリシャ「え・・・?」

セフォー「きっと俺はそのために来たんだよ。」

ナリリシャ「どういうこと・・・?」

セフォー「・・・・・・」

自分でもわからなかった。
俺はどうしてこんな言葉が出てきたのだろう。
でも、考えるよりも先に、ごく自然に紡がれた言葉だった。

セフォー「魔物が急に現れた理由も、一緒に考えればきっとなんとかなると思うよ。」

ナリリシャ「そ、そうね。ありがとう・・・」

ナリリシャ「外傷は、ないみたいですね・・・。横になっていれば大丈夫かしら。」

村人2「彼は私が家に運んでおきますよ。」

ナリリシャ「すみません、お願いします。」

ナリリシャ「・・・・それにしても・・・今日は不思議なことばかりだわ。セフォーさんが現れたのはいいとして・・・街の人達・・・どうして今日はこんなに怒りやすいのかな・・・やっぱり私が儀式を失敗し続けているせいよね?」*3

セフォー「そんなことはないよ。誰にだって、イライラしてしまう日はあるさ!」

ナリリシャ「・・・うん、そうね・・・。そう思うことにするわ。ありがとう・・・。それにしてもセフォーさん・・・原因をつきとめるといっても、どうやるの?」

セフォー「そ、それはー・・・うーん・・・とりあえず、聞き込み調査でもしてみるよ。」

ナリリシャ「なら私も・・・」

ディザ「あー-、お前ら、こんなとこにいたのかよー-」

ディザ「もー-、疲れた!部屋はできたがクッタクタだー-。メシを食いたいんだけど作るのがめんどくさくてしょうがない!ナリリシャ、メシの用意!!」

ナリリシャ「えっ、ええー-と・・・」

ナリリシャがチラリと俺に目線をくれる。
ディザさんは俺のために部屋を用意してくれて疲れているのだ。
当然断らせることなど出来はしない。
いいよ、という意味を込めて、笑って頷いた。

ナリリシャ「ごめんね。セフォーさん・・・セフォーさんの分もつくっておくから帰ったら食べてね!ディザさん、お疲れ様です。すぐに準備しますから、戻りましょうね。」

ディザ「なんだ?セフォー、何かやんのか?」

セフォー「ああ、気にしないでください。すぐに戻りますよ。」

ディザ「そか?じゃ、早く帰らないとお前の分まで食っちまうからな!」

セフォー「ははは・・・わかりました。」

ナリリシャ「セフォーさん、がんばってね!」

ディザ「じゃーなー。グッバーイ☆」

ディザさん・・・こんなに地面にヒビが入っていても
ゴハンのことで頭がいっぱいなんだろうか・・・

セフォー「さてと・・・早速聞き込みに行くかな。」

いまいちめぼしい情報はなかったな・・・。
それにしても、いままでそんなに平和だったのか・・・
一体どういうことなんだろう?
それから・・俺の名前を聞いた時の、人の反応が不思議だなぁ
ひょっとして何か、変な意味があったりして・・・?
いやいや、ナリリシャは、そんな変な名前をつけるような人には見えない。
まあ、別に差し支えるわけでもないし
本当の名前も思い出せないし・・・いいか。
とりあえずお腹もすいたし、教会に戻ろうかな。

フォー「ここが食堂だったかな。」

ディザ「おお!遅かったじゃないかよ!」

ナリリシャ「お帰りなさい、セフォーさん!」

セフォー「ふたりとも、待っててくれたのかい?」

ディザ「別に待ってたわけじゃねーよ。まだ食ってる最中ってだけだぜ。」

ナリリシャ「最初の食事は、みんなで仲良く!親しみやすいように!・・・って、ディザさんが言って、かなり摘み食いしていたけど待っててくれたのよ。」

ディザ「最後の一言はいらなかったぞ、ナリリシャ!」

「イベントCG 最初の食事は(未完成)」

セフォー「ディザさん・・・ナリリシャ・・・ありがとう!!」

ディザ「ま、いいってことよ。これから同じ魂のステージに立つんだからな!」

セフォー「・・・魂のステージ?」

ディザ「そんなことよりナリリシャから聞いたけど・・・お前、情報は入手したのかよ?」

セフォー「それが・・・やっぱり街の人も初めてのことだったみたいで・・・」

ナリリシャ「セフォーさん、ありがとね。きっと私たちで原因もつかめるわ。今、すごくそんな気がするの。今日初めて会ったのに不思議ね・・・。ね、ディザさん。」

ディザ「そだな。初対面って感じはしないぜ。一人増えただけで結構楽しくなるもんだな。」

ナリリシャ「私・・・セフォーさんとはずっと一緒に居た気さえするわ。」

ディザ「オイオイ、ポロポーズみたいになってるぜ!」

ナリリシャ「え、ええ?そ、そうだったかなぁ・・・」

セフォー「・・・」

俺も不思議な気持ちだった。目が覚めてから、ずっと。
ナリリシャに感じる懐かしさ・・・この街の懐かしさ・・・
教会の懐かしさ・・・
引越しをして、数年後に故郷に帰ってきたみたいな・・・
もっとも俺は、引っ越しの経験なんてないから
わからないけれど・・・。
そもそも引っ越しの経験あるかどうかわからない。
まあ、きっとそういう感じなんだ。この暖かさ。
この教会でなら、やっていける。
今日初めて来たのに、もうすで安堵感がある。
この安堵感に理由があるとすれば・・・
ナリリシャなんじゃないか・・・。
きっと、ナリリシャのおかげなんだと思う。

セフォー「・・・おいしいです。」

ナリリシャ「ん?」

セフォー「このスープ、とってもおいしいです!」

ディザ「あ!オレもそれは大好物だぜ!ナリリシャ特性スープ!!!」

セフォー「ゴハンって、食べた記憶がないけれど・・・ないのに言うのはおかしいけれど・・・このスープは、世界で一番おいしいと思う!」

ディザ「オレもメシは胃がビックバンを起こすくらい食ってるけどこのスープは間違いなくナンバーワンだぜ。」

ナリリシャ「えっ、そそ、そうかなあ?またいつでも作ってあげるね。」

ディザ「わー、楽しみだな!な!セフォー!」

セフォー「はい!ナリリシャ、ありがとう!!」

ナリリシャ「うふふ・・・しあわせだなぁ。今日は、不思議な日だったけれど今この瞬間は、とっても嬉しい。」

そう言うナリリシャは、本当に幸せそうで・・・
今日あれだけの事があったのも、すべて乗り越えたような
とても清々しい表情だった。

セフォー「おいしかったよ、ごちそうさま。」

ディザ「ごちそーさん!さて!おやすみ!」

セフォー「は、早いなぁディザさん・・・。」

ナリリシャ「うふふ・・・なんだかんだ言って今日は結構疲れていたのよ。」

セフォー「そっかあ・・・」

ナリリシャ「セフォーさんも疲れたでしょう?今日はもう寝たほうがいいわ。」

セフォー「あ・・・うん。それじゃあ今日はありがとうナリリシャ。おやすみ。」

ナリリシャ「ええ。こちらこそ。おやすみなさい。」

部屋は随分と整っていた。
ディザさんが頑張ってくれたのだろう。
一息ついて、ベッドに座った。
まだわからないことだらけだけれど、きっと大丈夫だろう。

セフォー「ん?ナリリシャかな?ナリリシャ?どうしたんだい?」

ナリリシャ「私は、重要な事を言っていなかった。私はまだ目覚めていない。だからこうしてお前に言葉をかけてやれるのもほんの少しの時間。」

セフォー「え・・・?」

ナリリシャ「私はずっと悔やんでいる。そして今この世界にまたアレが蔓延りだしたことも恐ろしい。私は子ども達に託す。次の時まで・・・それまで持ちこたえることができると信じている。」

セフォー「ナ、ナリリシャ・・・?何を・・・」

ナリリシャ「そして何よりも言いたかった事・・・ごめんなさい。」

セフォー「な、何が、何がごめんなさいなんだい・・・?」

イベントCG「殺してしまったこと(未完成)」

ナリリシャ

殺してしまったこと。

そのナリリシャの言葉を聞いたとき
全身が凍ったように固まった。
意味がわからない。意味がわからないのに
何かがわかるような、おかしな感覚。
問いただしたいような気持ちになったけれど・・・
何故かナリリシャを追うことすら出来なかった・・・。

次回「親睦の深め方」

選択肢一覧

*1愛人ナリリシャは渡さない!!ナリリシャとはどういうご関係
*2なんだか・・・おもしろい人だね鬱陶しい人だね
*3儀式を失敗そんなことないよそうだね・・・

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